リピーター確保が課題 朝ドラ「つばさ」効果
2009年12月24日(木)
蔵造りの街並みが残る川越市を舞台にしたNHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ)「つばさ」が今年3月から9月まで放映された。そのかいあってか、放映期間中の観光客は急増。メーン通り「一番街」の商店主らは「例年の3、4割増の売り上げ」とホクホク顔だ。ただ、関係者らは「これはあくまでもつばさ効果。今後の課題はリピーターをどう確 保していくか」と模索を続けている。
「お客が全国から来るようになったね。昨年までは関東が中心だったが、今年は北海道 や九州の人が見えた。例年なら、客数が落ちる夏場も減らなかった。さすがは全国区だね」―。ドラマで老舗和菓子屋のロケ現場となった一番街の陶器店「陶舗やまわ」の原知之社長(53)は、つばさ効果をこう振り返る。
朝ドラの放映が決まった昨年、川越市は市商工会議所をはじめ商店街連合会など地元関係団体で組織する「つばさ推進協議会」を設立。職員の名刺に「つばさ」のロゴマークを入れたり、街路灯に統一フラッグを掲げるなど、ドラマのバックアップ態勢を整備した。
放映開始後も、老舗の酒蔵「鏡山酒造」跡地を利用して、ドラマで使用した和菓子屋のスタジオセットなどを再現したり、出演者が使用した道具やサイン色紙などを展示した「つばさ展」を開催。さらに、10月には同跡地の敷地に東京芸大大学院生が制作したモニュメント「つばさ記念碑」を設置した。
視聴率は関東で平均13・8%と朝ドラ史上最低だったものの、地元のPR作戦が奏効したためか、観光客は放映開始直後をきっかけにぐんぐん伸びた。蔵造りの街並みの一番街に面する「川越まつり会館」と「蔵造り資料館」の放映期間中の入場者数は昨年同期比36%増。市は「実数は分からないが、間違いなく観光客は増えている」と胸を張った。
ただ、関係者は「観光客は来年以降、減るだろう」と口をそろえる。
リピーターの確保策について、同市観光課は「ドラマのロケ地誘致や長瀞などの県内観光ルートの商品化などを視野に入れながら、観光資源を洗い出し、サービスや情報提供の質を上げるなど、観光地としての付加価値を高めていきたい」と新たな試みに動きだしている。