銀座通り 所沢市<この街に生きる
2009年9月29日 読売新聞を抜粋編集
所沢駅西口を出て、北へ。「プロぺ通り」「ファルマン通り」と、日本の航空発祥の地にちなんだ名の商店街を抜け、坂道を下ると、道沿いに高層マンションが次々と現れる。かつての所沢の中心街「銀座通り」だ。
所沢は江戸時代、鎌倉街道と江戸への街道が交わった交通の要衝だった。宿場や、周辺の産物が市(いち)に集まる地域経済の中心として発展。明治にかけては綿織物「所沢飛白(かすり)」の一大集散地となった。今の「銀座通り」を中心に、「見世蔵(みせぐら)」と呼ばれる蔵造りの商家が軒を連ねた。
今では都市化が進み、通りの風情も一変した。だが、地元では、わずかに残る蔵造りなどを生かしながら、歴史を伝えていこうという試みが始まっている。
「蔵造りから高層マンションが並ぶ通りに変わったが、広くなった歩道をうまく利用するなど、出来ることはあるはず。街の歴史に関心が高まることで、住民同士の出会いが生まれ、地域の輪が広がれば」。そんな期待を胸に、三上さんはきょうも街の語り部を続けている。