2009年12月21日月曜日

うどんの街 所沢市<この街に生きる

うどんの街 所沢市<この街に生きる
2009年10月27日 読売新聞を抜粋編集

「手打うどん」――所沢市内の住宅街を歩いていると、あちこちで、こんなのれんや看板に出くわす。市観光協会作製のマップに掲載されているだけで、29店舗が市内各地に店を構える。

所沢はかつて、水利に恵まれず、小麦やイモが多く作られてきた。この小麦を使った手打ちうどんが家庭でよく食べられ、今も盆や正月、結婚披露宴といった特別な日に振る舞う地域がある。

やや茶色がかったコシの強いめんを、季節の野菜をさっとゆでた「かて」と一緒に、つけ汁につけて食べるのが所沢流だ。

市内の手打ちうどん店とは一線を画し、県内を中心に関東一円で「山田うどん」チェーンを展開する山田食品産業も、発展の礎を、今も本社を置く所沢で築いた。

会長の山田裕通さん(74)は、「所沢でうどんに適した小麦の生産が盛んだったので、昭和34年(1959年)、現在の本社所在地(同市上安松)に本格的 な製粉工場を建てた」と語る。創業後は、製めん所、店舗も設け、一貫した生産・販売体制を整えていった。「今思えば若気の至り。大きな工場を建ててしま い、その償却を図ることに夢中だった」と振り返る。