氷川鍬神社 上尾市 <この街に生きる
2008年12月9日 読売新聞を抜粋編集
石の灯籠(とうろう)を横目に鳥居をくぐり、参道を進む。数十メートルも歩くと、立派な本殿が目に入る。370年以上、上尾の街を見守ってきた氷川鍬(くわ)神社。
1631年(寛永8年)12月25日。「鍬」の字を染め抜いた着物姿の童子(わらべ)3人が上尾宿に現れた。踊りを踊って、突然姿を消す。残されたのは金の幣束(へいそく)と2本の鍬、そして稲穂。「神の使い」だとうわさされ、神社が出来た。
1788年、江戸で学僧として名高い雲室上人を招き、公立学校と寺子屋の機能を併せ持つ教育機関「聚正義塾(しゅうせいぎじゅく)」が開かれた。ここで多くの青年が孝経や近思録などを学んだ。
長い時を経て、学びへの意欲が復活する。2002年、上尾商工会議所は人材育成を目的に「上尾未来大学 聚正義塾」を始めた。受講生は、作家や企業経営者 の講義を聞いた後、意見を交わす。08年度までに修了生は延べ200人を超えた。商工会議所総務渉外委員長の星野理一さん(51)は「自発的に行動する リーダーとなり、地域活性化の担い手に」と願う。