2010年1月26日火曜日

栃谷 秩父<この街に生きる

栃谷 秩父<この街に生きる
2006年6月14日  読売新聞を抜粋編集

室町時代に始まったとされ、江戸時代に庶民に広まった秩父三十四か所の観音霊場巡り。「一番さん」の愛称で親しまれる四万部(しまぶ)寺は、秩父盆地の東端〈栃谷(とちや)〉にある。

「室町時代後期、この寺は二十四番。江戸からの巡礼者が回りやすいように一番に変わったようです」と前住職の丹羽信孝さん(81)は説明する。一番から三十四番までの行程は100キロに達する。

シーズン開始の春先には、1日数百人も訪れるという現在のような巡礼スタイルが定着したのは戦後からと記憶する。

「今は社会が不安定。大きなものにすがろうとしているのかもしれないですね」と受け止めている。

巡礼宿「旅籠(はたご)一番」は、四万部寺の門前にある。江戸時代、付近に4軒あった旅籠は、巡礼の衰退とともに明治時代以降、姿を消した。1973年、市の後押しもあって旅館業を復活させた。

四万部寺を出発し、約2キロ離れた札所二番の真福寺へ向かう巡礼道沿いにあるそば店「蕎都(きょうと)」には、乗用車で札所を回る巡礼者も足を止める。