龍勢のまち(旧吉田町) 秩父<この街に生きる
2006年6月15日 読売新聞を抜粋編集
秩父市の北部、人口約6000人の吉田地区(旧吉田町)。〈龍勢(りゅうせい)のまち〉として知られる。地区の鎮守・椋(むく)神社の秋祭りに奉納される龍勢は、またの呼び名を農民ロケットともいい、人々の五穀豊穣(ほうじょう)の願いを乗せて天高く飛翔(ひしょう)する。
龍勢は、15~18メートルほどの竹ざおに「筒」と呼ばれる、火薬を詰めた70~80センチの松の丸太を付けた手作りロケット。白煙を吐いて数百メートルも上る様を天に昇る龍に例え、この名が付いたとされる。
龍勢には、稲わらで作った龍などの飾りを付けたり、空中で見栄えがするようパラシュートや唐傘といった仕掛けを付けたりと、様々な工夫が施される。毎年10月の第2日曜日に開催され、昨年は8万人の観客を集めた「龍勢祭り」は、そんな“龍勢師”たちの晴れ舞台だ。