熊木町(くまぎまち) 秩父<この街に生きる
2006年6月10日 読売新聞を抜粋編集
シバザクラで有名になった羊山公園の西側から市役所周辺にかけて広がる〈熊木町(くまぎまち)〉。
地元産の食材にこだわった市役所の隣の食堂「安べえ」は、昼時には多くの人でにぎわう。
2004年9月に開店した店を切り盛りしているのは、越尾博子さん(58)。1998年に引っ越して来るまで、都内で消費生活問題を扱う会社を経営していた。
“田舎暮らし”を実践しようと、大手建設会社の部長だった夫の安博さん(66)と3年がかりで各地を巡った末、住まいを定めた。弁当の配達を手伝う安博さんは「釣りやハイキング、やりたいことが多くて忙しい」と笑顔を見せる。
食堂の常連、角野博昭さん(57)も50歳で工業デザイナーを引退し、都内から移り住んで本町に居酒屋を開いた。「1時間20分で山手線の駅に着く、限りなく都会に近い田舎。自然が豊富で伝統も根付いている」
新旧の住民が、新しい秩父を作っていく。