建設手法で県と市対立 川越駅前の共同開発事業
2010年3月18日(木) 埼玉新聞を抜粋編集
県の産業支援施設や川越市の市民活動交流支援施設など県西部地域活性化のシンボルとして、県と市が共同で開発する「西部地域振興ふれあい拠点施設(仮称)」の建設が立ち往生している。両者で合意していた民間資金などを活用した建設手法「PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)方式」をめぐり、「応札者が少なく、透明性や競争性が担保できない」と請け負い工事への変更を求める県に対して、市は「変更する理由がない」と反発しているからだ。建設はすでに計画より2年ずれ込み、両者は「事務レベルで協議を進めたい」としているが、今のところ打開策は見えていない。
共同事業の基本構想によると、JR川越駅西口前の同市新宿町1丁目の公有地など約2・4ヘクタールを対象に県が産業支援施設や大学コンソーシアム、地方庁舎、市は市民活動交流支援施設や老朽化した市民会館(同市郭町)の代替施設などを建設。受注業者がシネコンなどのにぎわい施設を建設、管理運営する。
県と市は同年12月、早期に入札を実施することを確認した。しかし、県は業者を対象に行ったヒアリングを受け方針を転換。新年度予算への債務負担行為の計上を断念、1月以降は市に対して「応募は1社だけの可能性がある」として、PFI方式の変更を求めている。
これに対して、市は「施設の運営期間を短縮したり、民間の事業内容を発注側から提示するなどすれば、透明性や競争性は担保できる。PFIのためにすでに4千万円以上のコンサル料を支出しており、3回目の入札の結果を踏まえ、その後に手法を考えたい」と難色を示している。