ぎょうざの満洲(坂戸市)「原価3割」守り成長
2010年2月19日 読売新聞を抜粋編集
「3割うまい」というユニークなキャッチフレーズで、ギョーザ中心の中華料理店を埼玉と東京で55店構え、成長を遂げている。
「3割」とは、売り上げに占める商品の原価の割合のこと。普通、売り上げが伸びれば大量仕入れで原価は下がり、会社の利益がその分アップする。しかし、池野谷ひろみ社長(47)は、あえて具材を値段の高い国産に切り替えるなどして、原価3割の水準を守ってきた。
売り上げ増で味と質を高め、また売り上げを伸ばす――。このサイクルが「3割うまい」だ。
ギョーザのタネは、すべて国産。ニンニクは昨年、中国産から変更した。キャベツは季節ごとに産地を変え、委託農家から朝取りが届く。豚肉は解体1週間以内の生肉を使い、新鮮で臭みもない。「しょうゆや酢をつけなくてもおいしい」というのが自慢だ。
おいしさの秘密は皮にもある。同社によると、市販の皮は、皮同士がくっつかないように水分量を35%前後に抑えているという。同社は独自の製造法で水分量を50%に増やし、ジューシーで、モチモチした食感を味わえるようにした。
製造時間は、キャベツの洗浄から焼き上がりまで約40分。毎日午前3時に製造を始め、開店の午前11時には全店に発送する。1日で約30万個を製造し、消費期限は当日に限定。鮮度にこだわり、直営店は坂戸工場から車で1時間半の圏内と決めている。最近は、店頭販売や宅配も好調。池野谷社長は「おいしいギョーザで人を幸せにしたい。売上高は前期比113%、100店出店が目標」と話す。
◆「満州の味」が原点
1964年創業。社名は、金子梅吉会長の兄が「戦前、満州(現中国東北部)で食べたギョーザの味が忘れられない」と話したのが由来。池野谷社長は金子会長の長女で、98年に就任した。マスコットの「ランちゃん」は社長がモデル。指を3本立てた姿は「うまい、安い、元気」を示す。年商は2009年6月期で約41億円。