2009年7月26日日曜日

川越出身の小村雪岱「日本橋の情景」など公開

2009年7月19日(日) 埼玉新聞を抜粋編集

川越市出身の日本画家・小村雪岱(せったい)=1887~1940年=の作品「雪の朝」を県が購入し、25日から県立近代美術館(さいたま市浦和区)で始まる特別展で公開する。

「雪の朝」は季節を主題とした画伯の「日本橋の情景3部作」の一つとされ、ほかの2作品「青柳」と「落葉」は県が既に所蔵している。県教育局によると、3部作がそろって同美術館で公開されるのは25年ぶりという。

小村画伯は東京美術学校(現東京芸大)で日本画を学び、作家の泉鏡花との出会いをきっかけに本の装丁や新聞の挿絵、歌舞伎の舞台装置の作成といった幅広い分野で活躍した。主に大衆文化の最前線で才能を発揮したが、日本画の肉質画は20点ほどしか残っていないという。

「雪の朝」(42×29センチ)は“雪岱調”と呼ばれる洗練された描線や光と闇を描き分ける繊細な色彩感覚が浮き出た作品。

県は画伯と親交のあった女性の遺族(東京都在住)から4月に150万円で購入した。作風や表装が同じ「青柳」(45×35㌢)「落葉」(同)とともに1924(大正13)年ごろに創作されたとされる。3部作を見比べることで、移り行く季節の情景や大正期の趣が楽しめる。