2009.7.16 産経新聞を抜粋編集
6度目の候補で直木賞を受賞した作家、北村薫さん(59)=埼玉県杉戸町=は、県立高校で国語の教師をしながら覆面作家としてデビューしており、県内には縁の深い人が多い。受賞から一夜明けた16日、関係者からは祝福の声が挙がった。
北村さんは県立春日部高校を卒業し、早大に進学。卒業後、県立杉戸農業高校と母校の春日部高校で教壇に立った。
県立高校で国語を教える北村さんの妻(55)は「認めて頂き本当にうれしい。受賞まで長かったので、ほっとしたのとよかったという思い」と心境を語った。
家での北村さんは「ごく普通のどこにでもいるお父さん」といい、「忙しくなると思うけど、自分のペースを守って皆さんに読んでもらえる作品を発表して」と夫にエールを送った。
春日部高校で北村さんに国語を教わったという同校英語教諭の島根輝人さん(44)は「北村先生の授業は明るく楽しい雰囲気。生徒が主体的に取り組める授業だった」と振り返る。
印象深かったのは、「詩や小説を読んで感じたことを言うと、北村先生は『いい答えだね』と、生徒の発言の良い部分を尊重してくれた」ことだという。
北村さんと同時期に春日部高校で体育を教えていた同校同窓会事務局長の戸井田哲さん(62)は「北村さんは物静かな感じだが、授業では声が大きく、飾らない感じで生徒から慕われていた」と話し、「110周年の春日部高校の歴史に残る名誉なこと」と笑顔をみせた。
杉戸町では名誉町民の贈呈を検討。同町住民参加推進課の小沼幸雄さん(45)は「古利根川の風景の描写など、地元の人は親しみを持って面白く読んでいます」と話していた。