2009年8月5日(水) 埼玉新聞を抜粋編集
蔵造りの街をはじめ菓子屋横丁、川越まつりなどの風景や市民の素朴な暮らしを30年間、カメラに納めてきた川越市三光町、写真家宗形慧さん(62)の写真展「川越―まちの暮らしを撮り続けて三十年―」が同市元町の蘭山記念美術館で開かれている。宗形さんの地道な活動の結晶を多くの人に見てもらおうと、市民ら5人が実行委員会を結成、企画した。30日まで。
展示されているのは、80年代と90年代に撮影したモノクロ写真約80点と最近10年間に撮影したカラー写真約10点。まつりや街並みを通して川越の変遷が分かり、街角の何気ない市民の姿が懐かしさを感じさせる。
宗形さんは東京都出身。写真で自己表現しようと、大学を中退。著名な写真家が指導していた写真教室に通い、写真の哲学を学んだ。その後、フリーになり、北海道・夕張炭坑の閉山や津軽の風土などルポルタージュ写真を撮り続けた。
79年に初めて川越まつりを見て、普段の川越の街の様子とのギャップに興味を持ち、川越の街の風景をや市民の暮らしぶり、民族芸能、風土などを撮り続けてきた。作品数は数え切れないほどで、既に7、8回の写真展を開催している。
宗形さんは「NHKのテレビ小説『つばさ』などの影響で、川越の観光客はここ数年増えているが、いい加減な流れの中で物事が動いているような気がする。本質は身近な足元に隠れています。写真展でそれを感じてもらえれば」と話した。