2009年6月7日(日)埼玉新聞を抜粋編集
地震が発生した場合に備え、危険地域や被害状況などを予測して被害の低減につなげる「地震ハザードマップ」について、16の県内市町村が作成時期を未定としていることが、県のまとめで分かった。
マップは2006年に改正された地震対策特別措置法に基づき、市町村ごとに作成が求められている。県が独自に行った「地震被害想定調査」を基に昨年度までに50自治体が作成を済ませ、ほか4自治体が11年度までの作成を目指している。
だが「洪水ハザードマップ」(県内55市町が対象)は、本年度末までに対象の全市町が作り終えるのに比べ、地震マップは16の自治体が完成時期をいまだ決めていない。
法律で作成を義務化された洪水用に対し、地震用は努力目標となっていることが要因として挙げられる。
所沢市は「避難場所となる公共施設の耐震強化を進めている段階で、それを踏まえてしっかりしたマップを作りたい。市民に有効活用してもらうことが大切で、地震だけでなく洪水なども入った総合的なマップとしたい」と遅れている理由を説明した。
危険区域を公表するハザードマップは迅速な避難誘導などの観点から10年ほど前から必要性が指摘され、当初は「住民の不安をあおる恐れがある」「地価が下がる」「マンションが売れなくなる」といった意見もあった。しかし危機管理意識の高まりを受け、今は「何かあった場合に予測される危険度を、事前に住民に伝えない方が問題」とする考え方が主流だ。