2008年7月29日火曜日

『渡来人移住と高麗郡の歴史的背景』を刊行 所沢の日野義弘社長


 2008年7月25日(金)、埼玉新聞を抜粋編集

 不動産業を営む傍ら、今年三月に六十七歳で奈良大学を卒業し、「渡来人移住と高麗郡の歴史的背景」(B6判、九十ページ)として刊行した異色の社長が所沢市内にいる。
仕事と学業のハードな日々を続けた末、まとめた労作だ。

 同市くすのき台三丁目、三巧商事社長日野義弘さん。
一九六四年三月に日本大学芸術学部を卒業後、日産自動車広告宣伝部を経て三十歳で独立、不動産業に携わってきた。
しかし中学生時代からの古代史への思いは消えず、六十四歳の時、思い切って奈良大学文学部文化財歴史学科に社会人入学した。

 木曜日の夜、仕事が終わると新幹線に飛び乗り、京都で一泊。翌朝、奈良大で講義を受け、月曜日に職場に戻る生活。
これを三年間続け、今年三月に学芸員の資格を取得して卒業した。

 「今から振り返ると大変だったが、古代人の生活や文化を知る喜びの方が強かった」と笑顔で話す日野さん。
卒論は「渡来人移住と高麗郡の歴史的背景」がテーマ。

 「所沢周辺は武蔵国の一部で六世紀から七世紀に朝鮮半島からの渡来人が多く、居住跡も多く残っていた」というのが選んだ理由という。
古代武蔵国への渡来人移住と高麗郡の歴史的背景を、古文書や郷土史、高麗郡の遺跡・遺物発掘調査記録、高麗神社、聖天院の歴史をもとに明らかにしている。