2010年8月19日木曜日

コミュニティーカフェ増加

2010年08月19日 朝日新聞を抜粋編集

 食事だけでなく、地元の情報を提供したり、催しを開いたり……。そんなコミュニティーカフェが、県内でも増えている。高齢者の所在不明や児童虐待など、地域コミュニティーの弱体化で生まれる問題が表面化するなか、育児や高齢者の支援などテーマを持ったカフェで、新しいつながりが生まれている。

◇地域つなぐ新たな拠点に

 さいたま市南区の住宅街に昨年11月開店した「ヘルシーカフェのら」。地産野菜を使った料理が自慢だ。地域の情報チラシが置かれ、月数回ワークショップが開かれる。

 入り口のスロープやオムツ換えができる大きめのトイレなど、子連れへの配慮が目に付く。息子(1)と訪れた主婦、岸本理恵さん(31)は、「子どもとゆっくり安心して楽しめるのがうれしい」という。普通の店では子どもが泣くと周囲の視線が冷たいが、ここでは当たり前。店のスタッフが「大丈夫?」と、さりげなく声をかけてくれる。

 カフェは「若い世代に食文化を伝え、母親同士がゆっくりしゃべれる場を」と、食や子育てに携わる男女3人が起業した。

 鶴ケ島市のコミュニティーレストラン「ここほっと」は、市の委託で学童保育所を運営するNPO法人「鶴ケ島市学童保育の会」が昨年7月に開いた。手作りケーキ3種の盛り合わせは300円で、40食限定のランチは500円だ。持ち込み企画の手作り教室やヘッドマッサージが開かれ、主婦や高齢者らでにぎわう。

 小川町では、昨年11月に「べりカフェ」がオープンした。町の有機農家が作った野菜を主役にした「食べて元気になるレストラン」を目指した。 街づくりのNPO法人「生活工房 つばさ・游」が店を運営。町に移り住んだ新規就農農家の野菜を積極的に使う。

 三郷市の「コミュニティカフェレストラン 青いそら」は、「働くがテーマ」と運営するNPO法人の浅草秀子理事長。障害者やひきこもり、高齢者ら、フルタイムで働くのが難しい人を雇う。

◇ガイドブック作り35店を紹介/NPOなど「運営費が課題」

 越谷NPOセンターと県団塊世代活動支援センターは、県内のコミュニティーカフェの情報を集めたガイドブック「見つけたよ! おいしくホッとにつながる幸せCafe」をまとめている。市民記者らが、口コミやネットで情報を集め、35店を紹介する。

◇コミュニティーカフェ
 長寿社会文化協会(WAC)が、「地域のたまり場や居場所」を「コミュニティ・カフェ」と定義。NGOを中心にフェアトレード食材を使う「スローカフェ」や、食を核にした地域支援「コミュニティ・レストラン」など、様々な形態が生まれている。