2008年8月2日土曜日

旧大澤家住宅を後世に <富士見

 2008年7月29日(火)、埼玉新聞を抜粋編集

 富士見市下南畑の難波田城公園内にある市指定有形文化財の旧大澤家住宅は建築当時の名主の生活の様子を知ることができる貴重な建造物として広く一般に公開されている。

 「市に寄託したことで文化財を壊さずに残せたことをありがたく思う」と話すのは、実際に近年までこの建物に住んでいた大澤誠さん(57)。
大澤家は江戸初期から大久保村(富士見市大久保)の名主をつとめ、大澤さんは19代目の当主にあたる。

 建物は1871(明治四)年に大澤家の母屋として建築。
木造平屋で約85坪、当時の民家としては、かなり大きい。
名主の家として格式高い特徴が数多く残され、幕府の役人を迎えるためだけに使われた「式台(しきだい)」と呼ばれる専用の玄関などは一般の古民家には見られない。
この式台は普段は閉じられ、たとえ当主であっても出入りは許されなかったという。
他にも違い棚や繊細な建具のある奥座敷、かまどのある台所、厩(うまや)など、当時の名主の暮らしぶりを知ることができるものばかり。

 難波田城公園の北西約2キロの大澤さん宅にはこの母屋よりも古い江戸期に建てられた長屋門、穀蔵が現存。特に長屋門は1866(慶応二)年の武州一揆の際に付けられたとされる刃物傷が残っており、歴史を刻む貴重な建造物として今に伝えられている。

 難波田城公園は午前9時から午後6時まで開園。問い合わせは、富士見市立難波田城資料館(TEL049・253・4664)へ。