2008年8月2日土曜日

脚折雨乞(すねおりあまごい) <鶴ヶ島

2008年7月31日(木)、埼玉新聞を抜粋編集
 
 「雨降れたんじゃく、ここにかかれ黒雲」―。
長さ三十六メートル、重さ三トンの龍神が約三百人の男たちに担がれ街中を練り歩く。
江戸時代からの伝統行事で、四年に一度のオリンピックの年に合わせて行われるようになってから、今年で三十二年目。

 約四十メートルにつないだ竹三本に、長さ二・五メートルの竹を約一メートル間隔で交差させて骨格を作る。その上に麦わら約六百束を載せて龍の体を完成させる。
今月二十六日、地元白髭神社に自治会員ら約二百四十人が集合。

 脚折地区では日照りの際、雷電池(かんだちがいけ)の畔にある雷電社で雨乞いをすると、雨が降った。
しかし、江戸時代の寛永(一六二四~四四年)のころ、雷電池を縮めて田んぼにしたため、池に棲んでいた大蛇が上州板倉(群馬県板倉町)の雷電池に移ったとされ、これが原因で雨乞いをしても雨が降らなくなったという。

 その後、村人らが知恵を絞って板倉の池から水を竹筒に入れて持ち帰り、雷電池に注ぎ、竹と麦わらなどで作った巨大な大蛇を担いで雨乞いを行ったところ、快晴の空がたちまち曇りだし、恵の雨が降ったとされる。

 この行事は一九六四(昭和三十九)年を最後にいったん途絶えた。
しかし、雨乞いの文化的価値と地域の一体感を取り戻そうと、地元住民らが七五年に「脚折雨乞行事保存会」を結成。
翌七六年に十二年ぶりに復活させた。
三年前、国選択無形民俗文化財に指定されている。