2010年11月28日日曜日

生誕150年、偉業をしのぶ 坂戸の偉人・大川平三郎

2010年11月24日(水) 埼玉新聞を抜粋編集

 川越藩三芳野村(現・坂戸市)出身で、明治から昭和にかけて活躍し、「製紙王」と呼ばれた実業家の大川平三郎氏の偉業をしのぶ「大川平三郎翁を語る会」が、坂戸市横沼の市立三芳野公民館で開かれた。坂戸市郷土史研究会会長で、大川平三郎研究家の大図口承氏(75)が「郷土の偉人大川平三郎」と題して講演したほか、アトラクションとして地元サークルが舞踊やダンス、合奏などを披露。参加した地元住民らは大川氏の功績と強靭(きょうじん)な精神力を改めて胸に刻んだ。
 同語る会は、大川氏の偉業を後世に継承していこうと結成された「大川平三郎翁保存会」(大河戸清理事長)が毎年開催しており、今年で7回目。
 大川氏は1860年(万延元年)生まれ。幼年期は暮らしに事欠く赤貧に育ったが、苦学の末、抄紙会社(のちの王子製紙)に入社。稲ワラパルプの大量生産や木材による化学パルプの製造に成功するなど実業家として功績を収める一方、洪水に見舞われていた地元のため、私財を投じて越辺川に堤防を築くなど村の富力増進に寄与した。
 講演で大図氏は、平三郎氏の祖父が農民から剣術指南となり、道場を開いていたことや武士の台所が苦しかった幕末から明治にかけた激動期に幼少期を過ごしていたことなどを解説。その上で「貧しい家庭環境が平三郎のハングリー精神と知恵を培ったことを我々に教えている」と強調した。